
仕事が忙しい。会社がブラック。
仕事の愚痴や文句、「仕事を続けるのがつらい」という人を見かけると、「嫌なら辞めれば」「何でそんな会社辞めないの?」と助言したくなることがある。
なぜ「嫌なら辞める」「死ぬくらいなら会社辞める」ができないのか?
「嫌なら辞めていい」というアドバイスはネットを覗けば簡単に目にするのに。
なぜなのか?
そんな疑問を解決してくれたのがこの一冊。
なぜ「死ぬくらいなら会社を辞める」ができないのか?
なんで、うっかり電車に飛び込んで自殺しそうになるまで働いていたかというと、結局のところ
「まだ大丈夫だと思って」
コレに尽きると思います。
「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)
自殺しそうになるまで、まだ大丈夫だと思っていた
死ぬくらいなら会社を辞めるができない理由は、本人はまだ大丈夫だと思っているからだ。
ではなぜ、まだ大丈夫だと思ってしまうのか?
その理由の1つとしてあるのが、周りの社員が同じ状況でも、平然と働いているからだという。
同じ状況にもかかわらず、平然と深夜まで残業している社員がいる。そんな姿を見ると、「できないのは自分の努力が足りないからだ。まだ頑張れるはず。もう少し頑張らなければいけない」と考え、仕事を続けてしまうのだ。
真面目な人ほど、自分の努力が足りないと考えてしまう。そこに「会社を辞める」という選択肢はない。
さらに悪いことに、決定的な体調の変化がないという。良好ではないが、会社にいけるという状態だから、なおさら「仕事を辞める」という考えにはならない。
不安で退職に踏み切れない場合も
また、会社を辞めるという選択が見えていたとしても、
「家族を養わないといけない」
「会社や顧客に迷惑をかけられない」
「休もうとしても上司に怒られる」
「辞めても転職できるかどうかわからない」
などの不安があって、実際に行動に移せない人もいるとのこと。
たしかに家族の生活がかかっていたら、転職というリスクはおかしたくないだろう。
人には個体差がある

周りの社員が平気で仕事をしているからといって、それが自分にもできるというわけではない。
人には個体差があり、同じ状況でも耐えられる人と耐えられない人がいる。同じ仕事でも、10分で仕上げられる人と、1時間かかってしまう人もいる。「周りと同じようにできないのは本人の努力不足」などと一概に言えるものではない。
人間には個体差がある。身長が高い人もいれば低い人もいる。IQが高い人もいれば、低い人もいる。
しかし会社のように同調圧力が強い組織や、同調圧力を感じてしまう人だと、「周りと同じように仕事ができないのは、自分の努力が足りないからだ」と考えてしまう。
それが原因で、精神的に限界なにもかかわらず仕事を続けてしまうらしい。
大切なのは人にはそれぞれ個体差があるということを知ること。
残業80時間でも問題ない人もいえれば、電車に飛び込んでしまいたくなるくらい精神的に追い込まれてしまう人がいる。
「嫌なら会社辞めれば」という助言は無意味なのか? 無責任なのか?

先に解説したように、「嫌なら会社を辞める」が誰でもできるわけではない。
では仕事で悩んでいる人たちに「嫌なら仕事を辞めれば」と助言するのは無意味なのか、無責任なのか?
「嫌なら辞めれば」とアドバイスすることで「退職」という選択肢に気づいてもらえる場合も
「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ) 」では、友人に「辞めればいい」といわれたことで、辞めるという選択肢を考えられるようになった、という話が紹介されている。
(友人に「辞めれば」いいといわれて)
「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ) より
友人のこの言葉で初めて、「辞めることが現状を一気に解決する方法」であることだと気が付けたのだと思います。
このように「嫌なら辞めれば」の一言をかけてあげることで、「辞める」という選択肢や、辞めてもいいのだということに気づける場合もあるのだ。
つまり「嫌なら辞めれば」という助言は無意味ではない。相手のことを思っての言葉であれば無責任でもないだろう。
ただし、相手の事情も理解してあげることも大切だ。
上から目線で「嫌なら辞めれば」といってしまうと「こっちの事情も知らないで」と反感を買うだろう。
「嫌なら辞めるが誰にでもできるわけではない」という事情を理解したうえで、「会社は辞めてもいいんだよ」ということを教えてあげるのが良いのかもしれない。
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』について
本ページで紹介した『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』は、過労状態やうつ状態から抜け出した人を取材し、その人のエピソードを漫画形式でまとめたものだ。
途中、著者であり精神科医である「ゆうきゆう」の解説がある。たとえば過労状態・うつ状態になるまで仕事を続けてしまう原因、心理状態について。
またその状態から抜け出すための方法などが解説されている。
過労状態・うつ状態の人には当然読んで欲しい一冊。そのほか、周りに過労状態・うつ状態の人がいる、という人にもおすすめ。そういった人たちの心理状態を理解するのにかなり役に立つことは間違いない。