ここではブラック企業を見抜くために、「当てはまったらブラック企業の可能性がある」という企業の特徴をまとめて紹介します。
1つでも当てはまるポイントがある場合は、さらに企業研究を行い、安全な企業かどうかをよく確認しましょう。
※企業を調べる際は、会社の口コミがわかる転職会議などのサイトを使うのがおすすめです。
企業ホームページ・求人編
まずは企業ホームページ・求人における「当てはまったらブラック企業の可能性がある」というポイントを紹介します。
特徴1:求人を長期間掲載している
求人を長期にわたり転職サイトに掲載している場合、ブラック企業の可能性があります。
人材募集は必要な数の人材を採用できたら終了するものです。求人を長期間掲載しているということは、その会社は絶えず辞める人がいるということです。
たとえば、何かしらネガティブな要素があり人材が定着しないか、あるいは人がどんどん辞めるので常に採用しないと間に合わないなど、ブラックの気配があります。
ただし、
- 人員が定着しているにもかかわらず、業績が伸び続けていて採用が追いついていない
- 採用基準が厳しい
といった企業である場合もあります。この場合はブラック企業であるとはいえません。会社の業績や社長の価値観など、調査の幅を広げて判断する必要があります。
特徴2:採用ハードルの低さが強調されている
「ノルマなし」「学歴不問」「未経験歓迎」「ブランクOK」「転職回数不問」など採用ハードルの低さを強調している企業には要注意です。
企業はできれば優秀な人、即戦力となるような人を採用したいものですが、そこをあえて採用ハードルを低くしているのは、次のような理由が考えられます。
- 仕事内容、給与面、社風などに問題があるブラック企業なので人が集まらない
- 誰でもできる単純作業であり、その仕事をどれだけやってもスキルにならない
一方で、若くて業務経験の浅い第二新卒を、新卒の代わりに採用している企業である場合があります。この場合、研修をしっかりしてくれる優良企業の可能性もあります。業務内容や募集の経緯などを確認することで判断できるので、チェックしておくようにしましょう。
特徴3:給与がやたら高い(同業他社と比較して)
同業他社の同じ職種と比較して、給料が異常に高い企業は怪しいです。
というのも給料が高いのは以下の理由が考えられるからです。
- ハードワークで、求められる業務のレベルが高い
- 歩合給やインセンティブによる部分が多く設定されている
求められる業務レベルが高い職種としてあげられるのは、コンサルティング会社や証券会社、広告会社です。
業務のレベルが高く、肉体的、精神的にもハードな仕事ばかりです。ブラック企業とは限りませんが、ハードな仕事を覚悟しておく必要があります。
歩合給やインセンティブの割合を確認しておく
給与が高い場合は、その給与が基本給なのか、それとも歩合・インセンティブによるものなのか、しっかりチェックしておきましょう。
その会社に入れば、誰でも高給をもらえるならいいですが、求人に書かれている内容はあくまでトップクラスの成績をあげた場合のモデル賃金である可能性があります。
また「月給90万円可能」と大々的に告知していても、90万円のうちどこまでが基本給で、どこからが歩合による部分なのかをしっかりと確認する必要があります。
その他、「どんな条件なら歩合給が発生するのか」についてもしっかりと確認しておきたいポイントです。
【給与情報で注意しておきたいポイント】
- 紹介されているモデル給与に幅がありすぎる
- 賞与回数や給与改定の回数が多い
- 「月給90万円も可能」という異常な高給
- 「熱意とやる気」「頑張れば頑張った分だけ」という精神論的なキーワードが多い
- 歩合をほのめかす記述がある
特徴4:仕事内容、職務内容が曖昧
「○○コンサルタント」
「○○リサーチ」
「○○マーケティング」
仕事内容が曖昧、よくわからないように記載している企業はブラック企業の可能性があります。
人気がない仕事・後ろめたい仕事であることを隠している可能性があるからです。労働環境が劣悪であるブラックな仕事の可能性もあります。
「○○コンサルティング」「○○マーケティング」といった抽象的なキーワードが使われている場合、それらは単なる営業職である場合がほとんどです。
具体的に何をする仕事なのか、商材は何か、を確認するようにしましょう。
特徴5:社風の良さばかり強調されている
社員の集合写真や、社員が笑顔でガッツポーズをしている写真など、社風の良さばかりを求人で強調している企業には要注意です。
社風の良さばかり強調しているのは、社風の良さ以外のアピール要素がないからかもしれません。
本当に優良企業であれば、自社の製品やサービス、福利厚生の充実度など何かしらのアピール要素はあるはずですが、それにもかかわらず社風や会社の雰囲気を強調するということは、他の強み・アピールポイントがないということです。
このような企業は、ネガティブな面を隠そうとしているか、ポジティブな面がないなどブラックな側面が隠されている場合もあります。
特徴6:企業ホームページのクオリティが低くい・更新されていない
会社のホームページのクオリティが低い場合や、長期間更新されていない場合は要注意です。
なぜなら次のようなブラック気質の企業である可能性があるからです。
- 仕事が忙しくてホームページの改善に手が回らない
- 資金繰りが厳しくホームページにお金をかけられない
- 業務に関する管理がずさんである
企業ホームページは会社の顔です。クオリティが高い企業ホームページであれば、企業の印象アップにもなり事業にも影響します。
逆にクオリティが低い企業ホームページは印象が悪く、仕事を頼みたいとは思えません。
顔となる企業ホームページがしっかりと管理できていない、企業としても問題がある可能性があります。
もちろん、ホームページの重要性に気づいていないだけの場合や、お得意様との取引だけで事業がまわっている会社などは、ホワイト企業でもホームページが質素な場合があります。
すべての企業に当てはまるわけではありませんが、企業ホームページのクオリティはしっかり確認しておくべきポイントです。
また、以下の特徴がみられる場合は、ホームページをしっかり管理していない証拠となります。このような企業にも要注意です。
- 誤字脱字がある
- 事業内容、会社名、会社の所在地が記載されていない、わかりづらい
- 何の会社かよくわからない、事業内容がわからない
特徴7:業務内容や社名が頻繁に変わっている
2年に一度など、会社名や事業内容が頻繁に変わっている会社には要注意です。
何かしら後ろめたい理由があって社名や業態を変更している可能性があります。たとえば違法行為や、非倫理的な税金対策、あるいは不祥事が発覚し社名に悪いイメージがついてしまったなどです。
いずれにしても、あまりにも頻繁に社名を変更している場合は、ブラックな雰囲気があります。かなり注意が必要です。
会社のマーケティング戦略の一環として社名を変更しているのであれば、心配する必要はありません。その点、しっかり調査が必要です。
特徴8:ネット上でブラック企業の噂がある
企業ホームページ、求人広告とは別になりますが、ネットで企業を検索した際、ブラックな噂が多数見受けられる場合は、不満を持った社員が多くいる可能性があります。
また企業名を検索した際、検索結果の最上部と最下部にでてくる「他のキーワード」に、「噂」「評判」「ブラック」といった言葉がでてきたら要注意です。
「他のキーワード」の欄に「○○株式会社 ブラック」「○○株式会社 評判」「○○株式会社 噂」があれば、よく検索されているということ。
火のない所に煙は立ちません。何かしら理由・原因があるからこそ、「ブラック」「評判」などのキーワードで検索されるのです。
その他、転職会議のような口コミサイトもチェックしておくべきです。ここでブラックの噂がある企業にも要注意です。
もちろんネットの情報だけでブラックか否かは完全に判断することはできませんが、少しでもブラックな噂がある企業は、念入りに調べましょう。
社員・社内編
説明会や面接で会社を訪問する機会がある場合のチェックポイントです。ここで紹介する特徴に当てはまる企業は要注意です。
特徴1:社員、社内の雰囲気の良さばかりアピールする
説明会や面接で、社員、社内の雰囲気の良さばかり強調している企業は要注意です。
こういった企業は、事業内容や福利厚生などでアピールできることがないから、主観的で曖昧な社員、社内の雰囲気の良さをアピールしている可能性があります。
売れている商品があるならその商品をアピールするはずです。起動に乗っている事業があるなら、その事業の素晴らしさをアピールするはずです。福利厚生に自信があるならそれをアピールするはずです。
こういった具体的なアピールポイントがない企業は、社内の雰囲気の良さのような、具体性に欠けるアピールをします。こういった企業はブラック企業である可能性もあり、社内の雰囲気すら悪い可能性があるので要注意です。
特徴2:社員の態度が悪い
人事担当者や社員の態度が悪い会社は、社内に様々な問題を抱えている可能性が高いです。
会社説明会は参加した求職者に好印象を持ってもらい、自社への応募を促すための場です。また自社の宣伝になる場です。
常識がある企業であれば、そういった場で悪い印象を抱かせるようなことは絶対にしないはずです。
また入社するか否かにかかわらず、応募者はどこかで顧客になるかもしれない人です。配慮がないということは、実際のお客様にも配慮がない証拠です。
つまり、顧客にも取引先にも横柄で、常識も倫理的もないブラック企業である可能性があります。
その他、以下に当てはまる企業も要注意です。
- 社員が挨拶をしない
- 社員の言葉使いが悪い
- 社内が明らかにピリピリしている
- 社長や上司に対して部下が委縮している
- 社員が何かにおびえている
- オフィスから怒号、掛け声が聞こえる
- 分煙されていない
そもそもこのような会社に応募しようと思う人はいないと思いますが。
特徴3:説明会で選考に進むことを強要される
一般的に説明会の後、選考に進むかどうかは参加者の自由です。
それにも関わらず、説明会の後に書類を提出するように強要したり、有無をいわさず面接や試験が行われたりする場合は要注意です。
選考に進むことを強要する会社は、採用が上手くいっておらず、強要しないと人を確保できない会社である可能性があるからです。
選考に進むことを強要するのは、通販番組の「今、注文すれば○○も一緒についてきます」と宣伝し、「今、注文しないと損する」と思わせる商売方法と同じです。
参加者に「この機会を逃すと選考に不利になるかも」と思わせ、きちんと調べてから応募する時間をなくし、判断材料を奪った状態で会社のペースに引き込むのです。
もちろん単純に時間短縮のために、説明会と選考を同時に行う場合もありますが、その場合でも選択の余地はあるはずです。
選考に進むように強要されているように感じたら注意するようにしましょう。ブラック企業のペースに持ち込まれる恐れがあります。
特徴4:休日日数や残業時間を教えてくれない
説明会や座談会などで、残業時間や休日日数を質問した際、具体的な数字が全くでてこず、曖昧な回答ばかりの場合は要注意です。
具体的な回答をしないのは、後ろめたい理由があるからです。
たとえば残業が多すぎて正直に答えると誰も応募してくれない、休みが全くなくてとても正直に答えられないなどです。
あるいは社員のレベルが低いだけか。説明会という大事な場にレベルの低い社員を起用するのは、それはそれで問題があります。
いずれにしても良い会社ではないといえます。
特徴5:受付、トイレが汚い
受付、トイレが汚い会社は、社員のモラルが低い可能性があります。
共同ビルであれば、清掃は外部の業者の方がやってくれる場合はその限りではありません。
一方で自社ビルや会社専用のフロアの場合は、トイレや受付は要チェックです。
トイレ、受付が汚いということは、「訪れる人がどんな印象を抱くか?」を考えられていないのです。
外部に対してその程度の配慮ということは、当然、社員にも配慮が欠ける会社であるといえます。
またトイレが汚い場合は、トイレを汚しても平気なモラルの低い社員が多いと考えられます。社内、社外問わず、他者に配慮がない人が多い会社であると考えられます。
特徴6:メールや電話での案内が不適切
会社の担当者とやり取りする機会がある場合は、メールの内容をしっかりチェックするようにしましょう。
たとえば、以下のようなメールを送ってくる会社には要注意です。
- メールの返信が遅い
- メールの文章が不自然
- 誤字脱字が多い
- 案内がわかりにくい
- 電話に出るのが遅い
- 電話対応の印象が悪い
対応が不親切ということは、お客様に対しても同じような対応をとっているのです。
前述の社員の態度が悪い会社と同じく、問題ありの会社です。
このような企業は、社風、もしくは会社のトップに問題がある可能性があります。少し警戒した方がいいでしょう。
特徴7:目標やスローガン、棒グラフがたくさん張られている
目標やスローガン、棒グラフを張っている企業は要注意です。
目標達成へのプレッシャーが強い会社と判断できます。
目標達成へのプレッシャーをかけられるのが苦手な人は避けた方が良いかもしれません。
注意すべきは「足で稼げ」「気合」「訪問件数○件目標」などと書かれたスローガンです。
このようなスローガンが掲げられている会社は、営業について精神的、感覚的な判断しかできず、成果が出なければ、会社の仕組みではなく「全て営業マンの能力不足が原因だ」と判断する可能性もあります。
パワハラがはびこる企業の可能性もあるので警戒したほうがいいでしょう。
特徴8:社内が異常に豪華
必要以上に豪華な調度品や絵画、趣味の品が置かれているのは、要注意です。
社長が会社を私物化している可能性や、社員の働きやすさに配慮がない会社である可能性があります。
本来のならばオフィスは社員が働きやすいようになっているべきです。
にもかかわらず、働きやすさに関係ない社長の私物がたくさんあるのは、社長が偉大な存在であること誇示したいからなのかもしれません。社長の自信のなさの裏返しでもあります。
いずれにしても良い会社ではない可能性が高いです。
面接編
面接からブラック企業を見抜く方法を紹介します。
特徴1:面接が短い・面接らしい質問がない
面接の時間が極端に短かったり、面接での定番質問がされなかったりするのは「採用できれば誰でも良い」という考えであるからです。
つまり、何か問題があって人気がない企業か、退職者が多く、誰でもいいから採用したいという企業の可能性があるのです。
面接ではスキルだけでなく、将来の可能性や人間性などを多角的に評価して、自社にふさわしい人間であるかどうかを見極める場です。
そのため面接は複数回実施し、人事、経営幹部、現場社員などさまざまな人が選考に携わります。
それにもかかわらず「面接時間が短い」「面接が1回しかない」というのはやはり裏の事情があるからです。
他にも「希望の待遇や、やりたい仕事などはまったく聞かれなかった」「部活やスポーツのことなど体力面にしか関心がない」という場合は要注意です。
社員の少ないベンチャー企業では面接が1回の場合も
社員数名のベンチャー企業では、最初の面接に社長と現場社員が同席して、一度の面接で採否を決定する企業もあります。
この場合は、問題があるか会社とはいえません。
特徴2:面接官・社員の態度が悪い
圧迫面接と見分けるのが難しいかもしれませんが、学歴、性別、国籍、前職に対して差別的でモラルを欠いた発言がある場合は会社に問題があります。
普通、圧迫面接は「今の会社の方がいいのでは?」といったように質問によって応募者を圧迫するものです。
発言や態度は別です。モラルに欠ける発言や態度が悪いのは、単に面接官の人間性に問題があります。
面接は応募者側が企業を判断する場でもあります。その場に、モラルに欠ける人をよこすのは、会社としても問題があります。
つまり、倫理感に欠ける会社の可能性があるのです。
特徴3:面接日程の調整で応募者の都合を考慮してくれない
面接の日程調整などで応募者の都合を考慮しない企業は、顧客に対しても同じような対応をする会社である可能性が高いです。
つまりモラルに欠ける会社であり、ブラックの可能性があります。
たとえば面接後に、
- 選考結果をいつ通知してくれるのか教えてくれない
- 次回の選考日程を決める際、応募者の都合をまったく考慮してくれない
- 面接の結果がでるのが遅い
このように自社の都合ばかり優先し、応募者の都合をまったく考慮しないのは、ブラック企業によくある特徴です。要注意です。
特徴4:業務内容や労働条件の説明が曖昧
仕事内容や給与について質問したとき、面接官が説明をしたがらない、曖昧な説明しかしない場合、ブラック企業の可能性があるので要注意です。
何か後ろめたい事情があり、それを説明してしまうと選考を辞退されてしまうことを警戒している可能性があります。
面接は企業が応募者を知る場ではなく、企業と応募者を双方がお互いを知る場でもあります。
そのことは当然、採用担当者も把握していることです。
面接官は、応募者に会社を理解してもらうために、「事業内容」「仕事内容」「勤務条件」「待遇」「平均残業時間」「平均勤続年数」などのデータはしっかりと用意しておくべきです。
それを隠すということは、やはり何か後ろめたい理由があるからだと判断できます。
特徴5:募集要項と面接で提示された採用条件が違う
求人の募集要項と面接時に説明された採用条件が違うことはブラック企業によくある特徴です。
たとえば募集要項では土日祝休と書かれていたのに「実際には土曜日、祝日は皆自発的に出社している」と面接でいわれた場合は要注意です。
また「残業代有り」となっていたが、みなし残業分が基本給に含まれていた場合も注意すべきです。
条件を良くみせて人を集め、面接で都合の良いように変えるという悪質な行為です。このような会社は、違法行為をしているという意識が低い会社ですので、絶対に避けるようにしましょう。
その他、試用期間中は社会保険に加入できない、有給休暇がないという場合も同様に避けるべき企業です。
ブラック企業を見抜くなら会社の口コミもチェックする
その他、企業がブラックかどうかを見抜くのにおすすめなのが、会社の口コミサイトです。
口コミサイトでは、社員・元社員による企業に対する口コミが投稿されているサイトです。
たとえば「転職会議」では企業の社風、職場の雰囲気といった情報から給与形態、昇進に関することなど、その企業で働いていた人にしかわからない情報を得られます。
すべての書き込みを鵜呑みにするべきではありませんが、企業がブラックかどうかを調べるうえで参考になります。
代表的な企業の口コミサイト