「志望企業は?」
「当社の課題は?」
といった応募企業に関する面接質問について解説します。
質問の意図がわからないと適切な回答ができない場合もあるので、質問例と質問の意図だけでもしっておくと役立ちます。
ここでは質問の例と、回答の注意点や質問の意図、そして回答例を紹介します。
どれも転職情報書籍などを参考に作成したものです。面接の際は参考にしていただければと思います。
志望動機を教えてください
志望動機だけを答えるのでは不十分です。
なぜなら面接官は志望動機だけでなく、採用に値するスキルや経験があるかもチェックしているからです。
「御社の〇〇という特徴に惹かれた」といった志望動機で終わるのではなく、「〇〇というスキルや経験を活かせると確信したから志望した」といった内容も加える必要があります。
スキルアピールと入社への思いを語る
思いを伝えるでは不十分です。
志望動機を聞かれたら、下記2つを語るようにしましょう。
- スキル・経験のアピール
- 入社への思い
この2つ語ることで、どこの企業でも通用するようなありきたりな志望動機になるのを避けられます。
【回答例】
まず、私が前職で培った新規開拓の営業経験・スキルを御社で活かせると思ったからです。御社の営業スタイルは、新規開拓が8割だと伺いました。私は前職で新規開拓のノルマを毎月クリアし、成績優秀者として社内で表彰された経験もあります。業界が違っても、この経験、スキルは活かせると確信しています。また御社では成果を適正に評価する独自の評価制度があり、その点に大変魅力を感じています。前職にはそのような評価制度がありませんでしたが、成果を適切に評価してくれる制度があれば、モチベーションもあがり私の強みも活かせると思いました。以上が志望した理由です。
その他、志望動機の答え方は以下のページでも解説しています。
当社で、どのような仕事をしたいですか?
この質問でみられているのは以下の2つ。
- 応募企業の仕事内容を具体的にイメージできているか?
- 「したいこと」と「できること」が一致しているか?
面接官が納得できる回答をするのは、当然企業研究が必要となります。
近い将来、従事可能な仕事を述べる
回答のポイントは以下の3つ。
- 自分のスキル・経験の範囲でできることを回答する
- 応募企業で実現可能であること回答する
- なぜやりたいのか?(根拠)も回答する
面接官が知りたいのは、「仕事内容を具体的にイメージできているか?」ということ。
そのため「こんな新規事業を始めたい」という話ではなく、「御社の〇〇という仕事に携わりたい」といった、現在存在する業務のなかでの「やりたい仕事」を回答するようにしましょう。
また「なぜその仕事をしたいのか?」という根拠も大切です。根拠もきちんと回答することで、企業研究の成果や自分のスキル・経験もアピールできるからです。
「○○の資格を持っているから」を根拠として話すのはNG
「TOEICのスコアが高いから」「○○の資格を持っているから」といったように、「○○の資格を持っているから○○の仕事をしたい」と発言するのはNG。
なぜなら資格があるからといって、その仕事で活躍できるとは限らないからです。実務経験を伴ったスキル・能力を根拠に、やりたいことを伝えるようにしましょう。
私は4年間、WEBデザイナーとして働いてきました。御社でも、同じくこの仕事に就きたいと思っております。また御社に入社がかないましたら、今後より一層、WEBデザイナーとしての技術を磨きながら、WEBマーケティングについても学び、WEBサイトを制作する立場から、マーケティングに関する意見や施策などを提案していきたいと思っています。
当社についてどの程度ご存知ですか?
この質問の意図は主に以下の2つ。
- 面接官が「会社・仕事の説明をどのあたりから始めればいいのか?」を把握するため
- 応募者が、しっかり情報収集を行っているかを知るため
入社意欲が伝わるように簡潔に答える
情報を羅列するのではなく、入社意欲が伝わるような回答をするのがポイントです。
「企業研究によって御社が○○分野に積極的であることを知しり、さらに御社に入社した気持ちが強くなりました」
上記のような流れで回答すると、企業研究の成果とともに、入社意欲を伝えられます。
御社の主要な商品は以前から存じておりましたが、応募に際して改めてホームページを拝見し、事業内容や沿革など会社概要の大まかなところは把握できていると思います。また、業界新聞やビジネス雑誌に掲載されていた記事もいくつか拝読し、商品開発に積極的であることを知り、それも応募理由の一つになりました。
この仕事で大切なことは何だと思いますか?
この質問から面接官が知りたいのは、「職種についてしっかり理解しているか?」ということ。
職務についての理解度を確認することで、「イメージしている業務内容と、実際の業務内容にギャップがないか?」を判断するのです。
適切な回答をするために、企業研究により応募企業の仕事内容、商材・サービスなどをきちんと把握しておく必要があります。
応募企業の業務を理解していることをアピールする
仕事に対してしっかり理解があること、知識があることが伝わる回答をする合格。
この仕事で一番大切なのは、聞き上手になることだと思っております。この仕事には保険の知識だけでなく、年金の知識、税金の知識も非常に重要で、勉強会への参加も積極的に行っています。しかし、そこで得た知識も、お客様の気持ちを理解して、何を本当に必要としているのかを的確に把握できないと意味がないと思っています。
一方的にこちらから話すのではなく、まずは敬意を持ってお客様に向き合い、話を受け止めることが大前提だと考えています。
今後の業界の見通しについてどうお考えですか?
質問の意図は主に以下の2つ。
- 業界についてしっかり勉強ができているか?
- 業界についての知識をもったうえで、将来について自分なりに知見をもっているか?
回答するには業界についてまとまった知識が必須となります。
業界に対する自分の意見を率直に語る
業界に対する自分の意見を率直に語ることが重要です。
「偉そうに業界の見通しなんて語ってもいいのか?」「率直に回答したら、自己主張が強すぎると思われないか?」という不安もあるかもしれませんが、物怖じする必要はありません。
自身が調査した客観的事実にもとづく意見であれば、印象が悪くなることはないでしょう。
自分の意見がない回答はNG
自分の意見がまったくない回答、論文的な回答、新聞やネットニュースの記事をそのまま読んだような回答は避けるべきです。
たとえば、以下のような。
「ゼロ金利政策により、ローンを組む人が増加することが予想されており、この業界は今後、活気を増すと言われております」
これは、新聞やニュースの意見をただ述べているだけの回答です。
自分の意見がない回答をしても、面接官は納得してくれません。
その他、「わかりません」と回答するのは絶対にNGです。「わかりません」と言うくらいなら、嘘でも何か答えるべきです。
少子化が進み、5年後には、国内生産規模が3分の2になるため、さらに国内での競争が激しくなることは間違いありません。そのため今から、海外企業も交えた、吸収や合併などで企業の体力を増強する必要があると思います。
また、日本の高品質な製品を評価してくれる中国やインドといった新興国にも目を向けていくことが成長の鍵になると思います。
当社の仕事の進め方は独特ですが大丈夫ですか?
この質問で確認したいのは、「自社で働く強い覚悟があるか?」ということ。
「できません」という回答は当然、NGです。
実際に仕事をしていないにもかかわらず、「できません」と言ってしまっては、「入社意欲がまったくない」と受け取られてしまいます。
基本的に「できます」「独特でも問題ありません」という流れで回答します。
自信のない回答はNG
「多分大丈夫だと思います」「現時点ではわかりませんが、入社後、頑張ります」といったように、自信なさそうな回答はNGです。どれだけ自信がなかったとしても、「大丈夫です。対応できます」と自信を持って回答すべき。
仕事についていけるかどうかは内定をもらってから考えればいい話。面接ではとにかく「自分が採用にふさわしい人材」であることを主張すべきです。
「なぜ大丈夫なのか?」その根拠も回答する
「大丈夫です。対応できます」と回答するのが大前提となりますが、必ず「なぜ、大丈夫なのか?」その根拠も回答するようにしましょう。
たとえば、「今まで、経理、営業、広報と3つの異なる業務を経験し、どのような業務であってもそれなりの実績を残してきました」といったように具体的な根拠を伝えます。
大丈夫です。むしろどんなことであっても対応しなければいけないと思っております。御社の仕事の進め方と、私が現在在籍している会社の、仕事の進め方は、確かに大きな差異があります。しかし足りない部分は業務後や休日を利用して日々、地道に努力し、いち早く御社の仕事の進め方に慣れるようにします。
前職でも、入社2年目の時に転勤を命じられ、転勤先での、仕事の進め方の違いに戸惑ったことがあります。その時は、転勤前と転勤後で明確に違う点を全てピックアップし、その点に着目して仕事をこなすことで、転勤先の仕事の進め方に慣れていきました。
この経験を通して、私は柔軟な対応力を養うことができたと自負しております。御社においても、前職と違うと点は、速やかに習得し、一日でも早く成果を上げられるようにします。
現職(前職)と当社の違いは何ですか?
この質問で判断されるのは、以下の2つ。
- 企業研究をできているか?
- 当社で働くイメージを具体的にもてているか?
現職と応募企業の違いを具体的に伝えることで、応募企業で働くイメージがきちんとできていることをアピールしましょう。
企業のネガティブな面も理解していることを語る
回答すべきことは以下の2つ。
- 応募企業で働くイメージができていること示す
- 応募企業のネガティブな面も理解していることをアピールする
前職との違いを話すときは、企業研究の成果をアピールできるようにしましょう。
また、企業のネガティブな面も理解していることアピールできると、さらに印象が良くなります。
前職の悪口と、応募企業の賛美はNG
面接官は現職(前職)の悪口はNGです。同時に、応募企業を褒めちぎるのもの印象がよくありません。
悪口ばかりだと印象が悪いのは当然のこと、「どうせ入社しても同じような理由ですぐに辞めてしまうだろう」と判断されます。
また、応募企業を褒めちぎるのはNGです。
「うちの会社を過大評価しすぎている。入社しても理想と現実のギャップを感じ、すぐに辞めてしまうだろう」と判断される恐れがあるからです。
もちろん具体的な根拠を示せるなら、応募企業を褒めても問題ありせん。ただし、根拠もなしに、応募企業を褒めても印象が悪くなります。
【回答例】
前職も御社と同じ業界でしたが、社風がまったく違うと感じております。前職はオーナー企業ということもあり、トップダウンでした。市場が縮小するなか、業績を残した社長の経営手腕は業界でも高く評価されていたと思います。
その一方で御社は、組織構造をシンプルにし、経営者と現場社員の距離感を緊密にされたのが一番の特徴だと思っています。
先日の会社説明会でも御社の社員の方が「意見を自由に言える風土ではあるが、その分、責任を持って仕事に臨まなければいけない」という点を強調されておりました。自由と責任は、表裏一体であり、改めて御社のシビアな側面を認識できました。
当社の課題は何だと思いますか?
この質問で判断されるのは以下の2つ。
- 企業研究ができているか?
- 自社の課題(欠点)を理解した上で、一緒に働く(可能性がある)一員として現実的な解決策を考えているか?
深いレベルでの企業研究が求められるので、難易度の高い質問です。
当事者意識が伝わる回答をする
面接官は、自社の課題を聞くことで、社員の一因になるイメージを持てているか、つまり、当事者意識を持っているかを判断します。
評論家的な一歩引いた目線での回答や解決策が見えないような回答はNGです。
「どうすればその課題を解決できるのか?」
「課題を解決するとどのような結果が得られるのか?」
といったレベルまで具体的に回答する必要があります。
ただし、単なる誹謗中傷にならないように注意が必要。ネット掲示板や口コミサイトで得た情報をもとに、「労働時間を減らすべき」「成果主義にするべき」といった回答をしても、「情報収集の仕方が甘い」「自社で働くイメージができていない」と判断されます。
また「課題はない」という回答は当然NG。課題のない企業は存在しません。課題が見つからないのは、ほぼ100%企業研究不足です。
御社の事業拡大スピードが早すぎて、人材追いついていない点が課題かと思います。入れ替わりが激しいと社内に有益なノウハウが蓄積されませんし、優秀な人材を他から採用するというのでは、やはり組織体はうまくいかないと思います。この点を改善できれば、今まで以上に成長できると思っております。
当社のイメージはいかがですか?
この質問は「応募者が持っているイメージと、企業の実際の姿にギャップがないか?」を確かめる意図があります。
企業研究の成果をアピールするとともに、「なぜそのようなイメージを持ったのか?」についても回答し、説得力のある回答をするのがポイントです。
イメージを抱いた理由・ネガティブな面も把握していることを伝える
「なぜ、そのようなイメージを抱いたのか?」といった根拠も回答しましょう。
さらに、応募企業のネガティブな面も理解していることも大切です。
「ネガティブな面も把握した上で応募している」という姿勢が伝わると、「企業研究の成果」と「働くイメージが具体的」である状態をアピールできます。
私は御社に対して、チャレンジ精神に溢れ、実行力がある会社であるとのイメージを持っております。ホームページの社長メッセージに「とにかく行動する」という言葉が書かれていましたが、このような社長の価値観が社員に浸透しているからだと思います。先月、競争が激しいSNS事業への参入を決意し、SNS事業でも有名な○○氏をCEOとして迎えたニュースは、その代表例だと思います。
しかし一方で、会社の決断スピードの速さについていけない社員の方々は、大変苦労されていると思います。ご縁がありましたら、新しい知識の吸収し、日々移り変わるマーケットについていけるように努力し、御社の求めるスピード感をいち早く身につけたいと思います。