企業はどんな能力、スキル、人物を求めているのか?
その答えは年齢によって違います。
たとえば、20代に求めるものと30代に求めるものは違うのです。
そこでこのページでは、企業が求める能力を年代別に紹介します。
さらに求める人物像を探る方法についてもかなり詳しく解説しているので、ぜひ参考にしていただければと思います。
20代前半~20代中盤の転職者に企業が求めるものとは?
業務経験が浅い20代前半~20代半ばの転職者の場合は、企業が求める人物像は以下の2つに当てはまる人です。
企業が20代の転職者に求めているもの
- ポテンシャルがある人物像
- 仕事への熱意・意欲がある人物像
業務経験やスキルよりも、ポテンシャルや熱意を企業は求めている
前職で培った業務経験やスキルなどももちろん判断材料にはなりますが、最も焦点を当てられるのがポテンシャルと仕事への熱意・意欲です。
この年代の場合は、業務経験やスキルが浅い場合、それらの経験・スキルはそれほど重視されることはありません。
逆に、「長い目でみて活躍してくれるか?」「企業に役に立ってくれるか?」が求める人物像の要件となります。
とくに「第二新卒歓迎」「未経験歓迎」などの求人に応募する場合は、なおさらです。
生かせるスキルや経験をアピールするのも大切ですが、応募職種にかける思い、仕事に対するやる気、長く続ける意気込みなどをアピールするようにしましょう。
ポテンシャルをアピールする方法
ポテンシャルをアピールするには次の2点を重点的にアピールすることが大切です。
- 応募職種への理解度の高さをアピールする
- 転職するために具体的な行動をとっていることをアピールする
たとえば広告営業の職種に応募するなら、その仕事や扱う商材に対する情報収集を行っていること、職種の勉強をしていることをアピールしましょう。
応募職種への理解度の高さをアピールできます。
また、仕事に直結する資格を取得している、もしくは取得のために勉強している、
その他、希望職種に近い仕事を体験している、など希望職種に就くために具体的な行動をとっているのであれば、それをアピールしましょう。
これらをアピールすることで、職種に対する熱意・意欲をアピール可能です。これは同時にポテンシャルをアピールすることにもつながります。
20代後半~30代前半の転職者に企業が求めるものとは?
転職者が最も多い年代が20代後半~30代半です。
即戦力となる能力やスキルを企業は求めている
20代後半~30代半ば即戦力となることが求められます。
20代後半~30代半ばの転職者に求められるもの
⇒即戦力になるかどうか
そのために企業はすぐに活躍できること、つまり、スキルや経験が備わっている人を求める人物像の要件として掲げます。
スキルや経験をアピールする場合は、仕事に関する“成功体験”を話すようにしましょう。
たとえば、
「売り上げを○○円伸ばした」
「○○円規模のプロジェクトと成功させた」
「営業成績トップで表彰された」
など。
その他、自分の強みは何なのか、応募企業でどんな価値を生み出せるのか、といったことをしっかりと伝えることが大切です。
これらをアピールできれば、実務能力やスキルが伝わり、「即戦力として活躍してくれそうだ」と判断してもらえます。
キャリアチェンジ、職種の変更は30歳まで
未経験歓迎の求人は、「29歳まで」としている場合がほとんどで、30歳になるとキャリアチェンジ・職種変更が難しくなる場合があります。
もちろん求人がゼロというわけではありませんし、可能性がゼロというわけではありません。
しかし同じ未経験であるなら、給料が安くて済む若い人間が、採用される可能性が高くなるのは事実です。
30歳以上の方で、キャリアチェンジ・職種変更を考える場合は、転職エージェントを利用して、転職のプロからアドバイスをもらうようにしましょう。
たとえば、「リクルートエージェント」や「パソナキャリア」では年齢に関係なく、求人紹介、転職サポートを受けることができます。
自力で転職活動をしてもうまくいかず時間を浪費してしまいます。転職エージェントでプロのから的確アドバイスをもらって転職を進めるようにしましょう。
※以下のページでは転職エージェントのサービス内容を具体的に紹介しています。
30代中盤~30代後半の転職者に企業が求めるものとは?
この年代は、ビジネスマンとしてのスキルや人・業務をマネジメントするスキルなどが求められます。
具体的には以下が求める人物像の要件となります。
- 専門的なスキル・成功体験
- マネジメントスキル
- 人間的魅力
1つひとつの要件について具体的に解説していきます。
専門的スキルと成功体験、マネジメント経験が求められる
経理・エンジニアなどの専門職ではとくにプロフェッショナルクラスのスキルが求められます。
また営業職だったとしても自身のスタイルを確立して、いくつかの成功体験を持っていることが重要となります。
またマネジメント経験については、「人材マネジメント」と「業務プロジェクトのマネジメント」の2つの種類が求められます。
「人材マネジメント」とは、人の教育や育成の経験についてです。
たとえ無役職だったとしても後輩社員などに対する経験をアピールできると、人材マネジメント経験として評価してもらえます。
業務のマネジメントについては、
社内の関係部署を調整しながら「仮設」「実行」「検証」のプロセスを回し、
成果を出した経験や、業務を効率化するなど、後々まで残るシステムを確立した経験があると、
高い評価につながります。
人間的魅力も求められている
人の上に立つことが求められるこの年代に人としても魅力は必要不可欠です。
部下や後輩から尊敬され、信頼される人柄は必須です。
部下から感謝された、
周りの社員から感謝された、
お客様からお礼の言葉をいただいたなど、人間性をアピールできるエピソードがあるならそれを伝えるようにしましょう。
逆にこの部分がかけていると判断されると、かなりのマイナス印象となる可能性があります。
企業が求める能力を具体的に知る方法とは?
ここまで紹介してきた「企業が求めている能力」はあくまで、一般的な話です。
個々の企業によっても求められる能力が変わってくるので、それも把握しておく必要があります。
では、企業がどんな能力を求めているのか? はどうやって探ればいいのでしょうか。
その方法について紹介します。
方法1:「社員紹介」から求めている能力や人物像を探る
転職サイトの募集要項や企業ホームページをみると、社員が紹介されていることがあります。
ここで紹介されている社員に注目しましょう。
社員紹介に出ている社員は求める人物像に当てはまっている社員
社員紹介には、企業が求めている人物像や、企業のカルチャーが表現されています。
たとえば、紹介されている社員の経歴がバラバラであれば、異業種の様々な経歴、バックグラウンドを持っている人を採用したがっている、と判断できます。
また、紹介されている社員の年齢を見れば、どれぐらいの年齢層の人材を欲しがっているのかも判断可能です。
30代、40代の人が並んでいるのであれば、当然、20代の若者向けではありません。
20代の若手社員だけが並んでいるようであれば、20代を求めていると判断することができます。
会社というのは、採用したい人材と似たタイプを採用活動の前面に出してくるものです。
このようなサインをしっかりと確認することで、その会社が求める人物像を読み解きましょう。
方法2:事業内容・IR情報から求める人物像・能力を探る
事業内容やIRにも、企業が求める人物像を読み解くためのサインが隠されています。
たとえば会社の事業内容がどういった順番でならんでいるのか? に注目してみます。
売上高の比率からみればたいしたことない新規の事業が、見つけやすい場所にある場合、
「その事業に関わる人材が欲しい」というメッセージである受け取れます。
また、まったく海外展開をしていない会社なのに、社長メッセージや採用担当者のメッセージに
「海外展開を目指して」
という文言が入っていれば、海外でも働ける人材が欲しいのだと判断できます。
IR情報から、その会社が今、どんな事業・分野に力を入れているのかを探りましょう。
会社が求めているのは、力を入れている事業・分野で活躍できる人物です。
方法3:面接官の人柄や雰囲気などから求める人物像を探る
序盤の面接では、エース社員が面接官を務める場合があります。
エース級の社員が登場した場合は、その人が魅力的か、どういったキャリアや考えの人なのかをチェックしましょう。
エース級の社員とは、つまりその会社で評価されている人のことです。
会社が求めているのはエース級の社員のような人であるということになります。
つまり、エース級の社員をみれば企業が求める人物像がわかるのです。
方法4:取り扱い製品・サービスから求める人物像・能力を探る
商品・サービスが
女性向けなのか、男性向けなのか?
高齢者向けなのか、若者向けなのか?
個人向けなのか、法人向けなのか?
といったこと観察するとおのずと求める人物像がわかってきます。
その他、求める人物像を探る方法は以下の記事で具体的に記載しています。
方法5:転職エージェントに求める人物像・能力を教えてもらう
転職エージェントとは、無料で転職活動をサポートしてくれるサービスです。求人を紹介してくれたり、履歴書の添削をしてくれたり、あらゆるサポートを受けられるサービス。
たとえばパソナキャリアやリクルートエージェントなどが人気です。
この転職エージェントは貴重な情報をたくさん持っています。
過去、同じ企業に採用された人が、どんな経歴・スキルをもっている人なのか、どんな人が活躍しているのか、といったネットからでは知り得ないような情報をもらえる場合も。
またストレートに、「あの会社は今、〇〇の経験がある人を求めています」といったように、
求める人物像を具体的に教えてくれる場合もあります。
転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアアドバイザーに求める人物像を聞くようにしましょう。
またエージェントを利用していない人は、これからでも遅くありません。
エージェントを利用するのがおすすめです。
※転職エージェントの一例
[おすすめ転職エージェント3つ]
方法6:企業の口コミサイトを使って求める人物像・能力を探る
企業の口コミサイトとは、元社員による会社の口コミが投稿されているサイトです。食べログの企業版みたいなものです。
企業の口コミサイトには、
どんな社員が多かったのか?
どんな人が出世するのか?
社風はどんな感じなのか?
どういう社員が多いのか?
といった実際に働いていた人しか知りえないような情報が書かれています。
求める人物像を把握するヒントも大量にある収穫できるので、絶対に一度は目を通しておくべきです。
転職サイトに書かれている「求める人物像」は信頼してはいけない
転職サイトの募集要項には、「求める人物像」なるものが書かれています。
しかしこちらの記載はあまり信頼しないほうがいいです。
なぜなら、「求める人物像」は甘いで、適当で、誰でも当てはまることしか書かれていないからです。
「求める人物像」は曖昧で適当で、誰にでも当てはまることしか書かれていない
以下は某転職サイトでみつけた某企業の求める人物像です。
※某企業の求める人物像欄の記載
○自分の可能性に挑戦したい方
○達成感を味わいたい方
○自分の頑張りを、しっかり評価してもらいたい方
○社会人として早く自立したい方
○人を喜ばせることが好きな方
○プロとして真剣に仕事に向き合える方
一見すると転職サイトでよくある「求める人物像」です。
求める人物像の「自分の可能性に挑戦したい方」は誰にでも当てはまる
たとえば、「自分の可能性に挑戦したい方」というがあります。
しかしよく考えてみてください。「自分の可能性に挑戦したい」と思っている人なんてたくさんいます。
また、恐らくどの企業も「自分の可能性なんて興味ない」という人より、「自分の可能性に挑戦したい」という人を求めるでしょう。
そんな当たり前のことをわざわざ「求める人物像」に記載する意味はあるのでしょうか。
もっと具体的に「実務でWebデザインの経験がある人」「英語で仕事をした経験が3年以上ある人」といったように記載するべきなのではないでしょうか。
求める人物像の「人を喜ばせることが好きな方」は誰にでも当てはまる
ほかにも「人を喜ばせることが好きな方」というものがありますが、世の中に人を喜ばせることが嫌いな方がいるのでしょうか?
一般的な感覚を持った人間であれば、誰もが人を喜ばせることが好きなはず。
こんな誰にでも当てはまる要素をわざわざ「求める人物像」に書いて何の意味があるのでしょうか。
応募者がみたところで、何の参考にもなりません。
転職サイトの「求める人物像」の内容はただの釣り文句
前述の通り、転職サイトの求める人物像は、誰でも当てはまるような条件です。
応募者をたくさん集めるための釣り文句です。
実際は、「面接をしていい感じだったら、求める人物像に当てはまってなくても採用しよう」という企業が大半です。
求める人物像を参考にして履歴書を作成しても、時間の無駄になる場合があります。
自己PRを考えるときは、「求める人物像」は無視してもいいでしょう。
「求める人物像」は無視して、自分の持っているスキル、経験のなかで、企業で役に立ちそうなスキルをアピールするようにしましょう。
自分が、求める人物像に当てはまっていない場合は?
求める人物像にまったく当てはまっていない。その場合は応募してもいいのか? 受かる可能性はあるのか?
そんな疑問について回答します。
求める人物像に当てはまらなくても応募していい
まず応募していいかどうかについてですが、応募してもまったく問題ありません。
先に解説した通り、求める人物像は釣り文句である場合がほとんどです。
また、たんなる目安として、求める人物像を記載している企業もあります。
そもそも、求める人物像に当てはまらない場合は応募してはいけない、などという決まりはありません。
また、求める人物像に当てはまっていなかったとしても、優秀な人材であれば、企業は放っておかないでしょう。
そういった意味でも、求める人物像に当てはまっていなくても、とりあえずは応募しておくべきです。応募するのは自由です。
求める人物像に合致した人材であることをアピールする
どんな企業を受ける場合もそうですが、自分がいかに求める人物像に合致した人間であり、自分がいかに求める能力を持った人材であるかをアピールしましょう。
たとえ求める人物像にまったく合致していなくても、求めるスキル、経験、素養があることをアピールできれば、企業は採用してくれるはずです。
そのためには、やはり企業がどんな能力、スキル、人物を求めているのかを具体的に把握することが大切です。
先に解説した、「求める人物像を具体的に把握する方法」を参考にしてみてください。
終わりに
営業の仕事では、顧客が何を求めているのかを時間をかけて探ると思います。
また、気になる異性に好かれようと思ったら、相手がどんな人を求めているのか、どんな人を好きになるのかを必死になって探ると思います。
「企業が求める能力・人物像」も同じです。
相手が何を求めているのかを必死になって探り、自分それにふさわしい人間であることをアピールする。
これが、意中の企業から内定をもらうためにもっとも大切なことです。